現在、日本は健康寿命が世界一の長寿社会を迎えております。
平成29年9月に「人生100年時代構想会議」が設置され、
若者から高齢者までの全国民が元気に活躍し続ける社会、
安心して暮らすことの出来る社会を作ることが課題となっております。
「人生100年時代」に向けて。については、
厚生労働省のホームページで詳しく紹介されております。
⇒厚生労働省「人生100年時代」
その中で、キーワードとなるのが「健康寿命」です。
「健康寿命」とは・・・。
『日常生活が健康上の問題で制限されることなく送れる期間』
のことをさします。
平均寿命から健康寿命を引くと、日常生活に制限のある不健康な期間となり、
男性は約9年
女性は約12年
となっております。
この期間を短くするために適度な運動は欠かせません。
健康のまま天寿を全うする意味として、
【健康で長生きし(ぴんぴん)寝込まず楽に大往生する(ころ)】
【ぴんころ】という言葉がありますが、
いつまでも健康でいきいきとした生活を送るために、
健康寿命を延ばしていくことが大切です。
ベッドの上で動けず100歳を迎えるのではなく、
当たり前のように日常生活を送っていたらいつの間にか100歳を迎えていた。
これが理想ですね。
では、健康には運動は大切。
だと分かっていても、何をすればよいのか分からない・・・。
健康寿命を延ばすためには具体的にはどのようにすればよいのか・・・。
という疑問が沸くと思います。
その鍵を握るのが
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
ロコモティブシンドローム(運動器症候群)
サルコペニア(加齢による筋肉量減少)
この3つの解消です!
今回は、上記3つを詳しく説明いたします。
この記事のコンテンツ
メタボリックシンドロームの意味と解消法
「メタボ」と省略した名称が定着していますが、
正確には「メタボリックシンドローム」と言い、
日本語表記では「内臓脂肪症候群」となります。
メタボリックシンドロームに当てはまる条件としては、
男性腹囲85cm以上、
女性腹囲90cm以上が必須項目となり、
さらに下記3項目中2項目以上が該当する方が当てはまります。
・血圧130/85mmHg以上
・中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満
・血糖110mg/dL以上
※日本肥満学会(JASSO)基準(2005年)
男性の腹囲85cmは意外と厳しい判定かと思いますが・・・。
では、メタボリックシンドロームになると何が良くないのか・・・?
メタボが良くない理由は?
メタボリックシンドロームの方の身体状況は、
さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態にあります。
先ほどの項目が当てはまる方は、
「肥満症」「高血圧症」「糖尿病」「脂質異常症」を
重複して発症している可能性があり、
動脈硬化による心臓病・脳卒中の発症のリスクが高くなります。
また、糖尿病を発症するリスクは健康な方の約7~9倍となり、
心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクは、健康な方の約3倍
とも言われております。
もちろん、メタボリックシンドロームの状態でも健康な方はたくさんいると思います。
しかし、様々な病気の発症リスクが高くなっていることに気が付くことが重要です。
メタボリックシンドローム解消の適度な運動とは?
メタボリックシンドロームや生活習慣病を防ぐためには適度な運動が不可欠ですが、
適度とはどの程度かというと・・・
18歳~64歳
1週間に「23メッツ・時」の身体活動
(うち運動が4メッツ・時)
65歳以上
1週間に「10メッツ・時」の身体活動
(強度は問わず)
聞いたことのない単位が出てきているかと思いますが、
「メッツ」は身体活動・運動による代謝当量を表す運動強度の単位です。
安静時を1メッツとした場合、その活動が安静時の何倍相当になるのかを表わします。
そのため、メッツを参考に自分がどれだけの強度の運動をしているか数値で見ることができます。
また、「メッツ・時」は、身体活動の時間を表す単位として使われております。
「メッツ」に実施時間をかけた、身体活動の時間を表わす単位です。
通常歩行を20分
3メッツ×1/3時間=1メッツ・時
エアロビクスを60分
6メッツ×1時間=6メッツ・時
ランニングマシンで4メッツの早歩きを
15分おこなうと1メッツ・時に相当します
ほかにも
など、様々な運動に当てはめたメッツ一覧表もあります。
もっともっと細かくした一覧表もありますので、ご参考までに。
国立健康・栄養研究所、メッツ一覧表
週23メッツ・時を目指して、健康な身体を手に入れましょう!
ロコモティブシンドロームの意味と解消法
メタボに続き、こちらもロコモと省略して呼ばれ、だいぶ定着しております。
最近ではCMなどでも取り上げられているのでご存知の方も多いと思います。
このロコモティブシンドロームとは、
主に「加齢による運動器の障害」のために、移動能力の低下をきたして、
要介護になっていたり、要介護になる危険の高い状態を言います。
「運動器」とは・・・。
身体活動に関する骨、筋肉、関節、神経、軟骨、椎間板などの組織や器官の機能的連合をさします。
難しい表現になってしまったので、簡単に説明すると・・・。
筋力の衰えや関節痛などで、歩行や日常生活に何らかの障害をきたしている状態です。
ロコモティブシンドロームの3大要因
1、運動器の疾患
2、バランス能力の低下
3、筋力の低下
この3つがロコモティブシンドロームの3大要因と考えられます。
一般的に要介護・要支援になった理由は、
以下の円グラフにあるように運動器の障害が1位となっております。
次に、運動器の衰えがどのようなものなのかを具体的に見ていきます。
ロコモティブシンドロームは簡単なチェック項目があり、
誰でも自身で確認することができます。
ロコチェック2010
次の7項目のどれかに当てはまればロコモと考えられます。
①片脚立ちで靴下がはけない
②家のなかでつまずいたり滑ったりする
③横断歩道を青信号で渡りきれない
④階段を上るのに手すりが必要である
⑤15分くらい続けて歩けない
⑥2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
⑦家のやや重い仕事が困難である
いかがですか?いくつか当てはまっている方は要注意です。
ロコモティブシンドローム予防・解消法とは?
ロコトレ(ロコモーショントレーニング)をおすすめします。
ロコトレは、特別な器具を使わず自宅でも簡単にできるトレーニングです。
短時間でできる簡単な2種目のトレーニングで、
主に下肢の筋力トレーニングによる筋萎縮の予防・改善や、
バランス機能訓練となる、片脚でバランスを取る種目となっております。
一つ目・・・。
開眼片脚立ち
引用:https://locomo-joa.jp/check/locotre/
目を開けたまま、床に着かない程度片脚をあげます
転倒しないようにつかまれるものがある場所で行なうことがベストです。
この開眼片脚立ちを左右1分間ずつ、1日3回行ないます。
※必ず、つかまるものが近くにある状態で行なうようにしてください。
二つ目・・・。
スクワット
引用:https://locomo-joa.jp/check/locotre/
椅子に腰をかけるようにゆっくりとお尻をさげます。
注意点としては、
膝はつま先よりも前に出さないようにします。
膝の曲げる角度は90度を超えないようにします。
5~6回を1セットとして、1日に3回行ないます。
※痛みを感じた場合は曲げる角度を小さくしても構いませんので、無理は禁物です。
上記は、日本整形外科学会推奨のロコトレになりますが、
これでは普段から適度に運動している方にとって
負荷の軽いトレーニングになってしまうと思います。
そういう場合は、スクワットの回数を少し増やすことと、
上げ下げのスピードをゆっくりとコントロールしながら行なうことをおすすめします。
5秒かけてゆっくり下げて、5秒かけてゆっくり上げるなど。
負荷が軽くても継続することで効果はありますので、
まずは、運動の習慣化から始めてみましょう。
サルコペニアの意味と解消法
サルコペニアは加齢に伴い筋肉量が減少していく現象を意味します。
言葉の由来は
ギリシャ語の「サルコ(筋肉)」と「ペニア(喪失)」を組み合わせた造語です。
「メタボ」「ロコモ」のように略して「サルコ」と呼びそうですが、
こちらは造語の為か、「サルコペニア」と略さず呼ばれます。
サルコペニアの定義
① 筋肉量の減少
② 筋力の低下
③ 身体能力の低下
サルコペニアは、広背筋・腹筋・膝伸筋群・臀筋群などの
抗重力筋(姿勢を保つのに重要な筋肉)において多く見られます。
そのため、立ち上がりや歩行がだんだんと億劫になり、
放置すると歩行困難にもなってしまうことから、
高齢者の活動能力の低下の大きな原因となっています。
定義にある、①筋肉量の減少に加え、
②筋力の低下、③身体能力の低下のどちらかが該当すると
サルコペニアの可能性が高くなります。
その、判断基準には握力と歩行速度が用いられております。
サルコペニアの判断基準は?
握力、歩行速度の結果のどちらか
又は両方が基準値以下の場合は注意が必要と考えられます。
握力
男性:25㎏以下 女性:20㎏以下
歩行速度
秒速0.8m以下(青信号で横断歩道を渡りきれるか)
サルコペニアは、筋力・筋肉量向上のための簡単な筋力トレーニングによって
進行の程度を抑えることが可能です。
そのためには、意識的にある程度、運動強度の高い運動を行なうことが大切です。
かといって、トレーニングジムに通ってマシンで筋トレをする。ということではなく
ロコモで登場した、スクワットを行なうなど、自分の体重での筋トレをすることでも
進行を抑えることはできます。
頻繁につまづいたり、立ち上がる時に手をついたりするようになると、
症状が進んでいると考えられますので要注意です。
「メタボ」「ロコモ」「サルコペニア」まとめ
この、メタボリックシンドロームとロコモティブシンドローム、サルコペニアを
予防・解消して、人生100年時代をより健康的で豊かな日々として送れるよう、
健康寿命を延ばしていくことが重要となっております。
今回は、3つの違いを記事にしましたが、共通して言えることは
運動することは身体にとってとても重要なことである。
ということです。
でも、だから運動しなさい!
ということではなく、自分の身体と向き合って、
運動が必要なのかどうかを確認し、
意識を持つことでも、一歩前進と考えて良いと感じます。
気になる年代の方は、少しずつでも実践して頂き、
知り合いに当てはまる方がいらっしゃる場合は、
上記のようなことをそっと教えてあげていただけると幸いです。
健康のためにできることはたくさんあります。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。